火災及び自然災害による建造物及び家財への被害は、年々右肩上がりに増加しています。火災保険に加入していると、火災及び自然災害によって、建造物及び家財に被害があった際、補償を受けることができるため安心です。
しかし、実際に被害を受けた際に、火災保険を申請する方法等を日頃から理解している方は多くありません。
本記事では、火災保険を申請する方法をはじめ、お得に火災保険料を支払う方法についてご紹介致します。
火災保険は使用すると更新料は上がる?
火災保険は、火災をはじめ、落雷や爆発、風災、雪災、水災等の自然災害や盗難被害等に見舞われてしまった場合、保険金を受け取ることが出来ます。等級制度の自動車保険とは違い、契約中に何回使用したとしても更新料が上がることはありません。
しかし、近年では、地球温暖化による環境変化のため、年々自然災害発生率が高くなっており、火災保険の保険金がおりる事例が多くなっていることから、保険会社各社は保険料の値上げに踏み切っています。
更新料が上がることはなくても、火災保険料のベース金額は右肩上がりのため、保険料を安く済ませるためには単年契約ではなく、長期契約をすることを推奨します。
長期契約であれば、保険料の値上げが実施されても契約期間中に保険料が上がることがないためです。ただし最長で10年の契約期間となりますので、覚えておきましょう。
火災保険に利用回数の制限はない!
火災保険には、利用回数の制限がありません。契約期間内であれば、建造物の被害が認められた場合に何度でも申請することができる上、申請の都度保険金がおりることとなります。
しかし、契約している建造物及び家財が火災及び自然災害により全損してしまって、建造物全体の保険金の請求を行ったという場合には、火災保険の対象となるものがなくなってしまうため、上限金額の保険金がおりた後は契約が終了となります。
さらに、この場合にはセットで加入している地震保険に関しても契約終了となってしまいますので注意が必要です。
関連記事:火災保険を一度使うとどうなるの?金額や複数回使える事例をご紹介!
火災保険の申請には期限がある!
火災保険の保険金請求の申請には、期限があることも覚えておきましょう。保険金請求が可能な期限は被害を受けた時から3年以内と保険法第95条に定められています。
建造物に被害を受けた後、3年を経過してから保険金請求をしたとしても、保険金がおりることはありません。万が一火災及び自然災害等で被害を受けてしまった時には迅速に申請を行うことが大切です。
1回で火災保険が契約終了になる事例
前項で、火災保険は契約期間中であれば何回でも使用することができると述べましたが、1回の保険金請求で火災保険が契約終了になることがあります。事例としては、次の2点が挙げられます。
- 1回で保険金限度額に達した
- 建物全体が対象となる場合
本項目では、上記2点について解説致します。
1回で保険金限度額に達した
火災保険に加入している建造物が火災及び自然災害等で、大きな被害を受けてしまった際の保険金請求により、1回で保険金限度額に達した場合には、その時点で契約が終了となります。
例えば、火災保険に加入している建造物が火災によって延焼面積の8割以上が焼失してしまった場合や、台風によって全壊してしまった場合等が当てはまります。
さらに契約している保険会社によっては、1回の保険金請求で保険金限度額の80%以上に達してしまった場合でも契約終了となる場合があるので、日頃からきちんと契約内容を把握しておきましょう。
建物全体が対象となる場合
前項でも述べた通り、火災及び台風等の自然災害で火災保険に加入している建造物が全燃及び全損してしまった場合、契約している保険金の上限金額が全ておりることとなります。
全焼及び全損により建造物全体が補償の対象となり、全ての保険金がおりた場合には、その時点で火災保険に加入している建造物自体がなくなっているとみなされるため、契約終了となります。
さらに、セットで加入している地震保険に関しても、上記の場合には同時に契約終了となりますので、覚えておきましょう。
2回目以降で火災保険の請求が通らない事例
冒頭で述べた通り、火災保険は契約期間中であれば、何度でも使用することが可能です。しかし、2回目以降で火災保険の請求が通らない事例として、次の2点が挙げられます。
- 前回の請求した箇所を修理せず改めて請求した
- 地震が起きて72時間以内の請求
本項目では、上記2点について解説致します。
前回の請求した箇所を修理せず改めて請求した
火災保険の保険金は、本来であれば建造物及び家財で被害のあった箇所を修理するために使用しますが、実際に修理のために保険金を使用しなかったとしても罰せられることはありません。
しかし、1回目の被害の際に、おりた保険金を修理代金に充てずに、修理をしていなかった箇所が、2回目の被害でさらに1回目よりも大きな被害を受けてしまったという場合には、保険金請求をしたとしてもおりることはありませんので、注意しましょう。
また、加入している保険会社によっては、修理代金の領収書がなければ保険金がおりないというケースもあるため、契約内容を確認しておく必要があります。
関連記事:火災保険の保険金で修理しないとどうなるのか?デメリットと注意点
地震が起きて72時間以内の請求
地震が起きて建造物に被害があり、保険金請求をした後、72時間以内に地震が再び発生し、建造物に被害が出たからといって2回目の保険金請求を行ったとしても、保険金がおりることはありません。
地震保険法の第三条において、72時間以内に2回以上発生した地震は一括して1回の地震等とみなすと規定されています。
そのため、個別に保険金を請求するのではなく、1回で全ての被害分を請求するようにしましょう。
関連記事:火災保険がおりない理由は?火災保険の保険金請求のコツを解説
火災保険の申請の方法とポイントを覚えておこう!
万が一、火災及び自然災害等の被害に遭ってしまった際、火災保険の申請方法を理解しておくことで、スムーズに補償を受けることが可能ですので、申請方法及びポイントをきちんと押さえておきましょう。
火災保険の申請の方法は、次の流れの通りです。
- 契約している保険会社へ連絡
- 保険会社から必要書類が届く
- 保険会社に必要書類を提出
- 保険会社の調査
- 保険金の入金
本項目では、申請の方法のポイントについて解説致します。
関連記事:火災保険の見舞金|保険金の請求方法、相場や注意点を徹底解説
1.契約している保険会社へ連絡
火災及び自然災害等で、火災保険に加入している建造物が被害を受けた場合、契約している保険会社へ連絡を入れましょう。その際、契約者の氏名、連絡先、保険証券番号、被害発生日時や場所、被害内容等を伝えます。
ここで被害内容をきちんと伝えることが大切です。メモを取る等して、保険会社に伝えなければならないことは全て伝えられるようにしておきましょう。
また、保険会社によっては、専用のWEBサイトを設けている場合があります。その場合には専用フォームに沿って、入力漏れの内容に落ち着いて入力することが大切です。
※火災保険は、過去3年間以内の被害であれば申請することが可能です。大規模な自然災害等により、多数の建造物が被害に遭ってしまった場合には、保険申請が混み合ってしまいます。3年以内であれば、災害が落ち着いてからの申請であったとしても問題ないことを覚えておきましょう。
ただし、被害直後の写真や動画等を必ず撮影し、証拠を残しておくことが必要です。また、原因究明等が困難になるケースもあるため、なるべく早く申請を行うことを推奨します。
関連記事:火災保険の申請期限はいつまでなのか。注意するべきことや請求の流れも解説
2.保険会社から必要書類が届く
保険会社に連絡すると、保険会社から必要書類が届きます。一般的な火災保険の場合、「保険金請求書」「事故内容報告書」「修理の見積書」「自然災害であることを証明する写真や動画」等の書類が必要です。
特に写真や動画等については、被害があった後すぐに撮影しておくことが大切です。証拠の写真や動画がなければ保険金がおりない場合があります。
※契約している保険会社によっては、必要書類が「修理の見積書」ではなく、「修理の領収書」である場合がありますので、きちんと確認をしましょう。
3.保険会社に必要書類を提出
保険会社に必要書類を提出します。
※必要書類に不備があると、後述する保険会社の調査が入る確率が高くなります。必要書類提出の前には、記載事項に不備がないか、必要な書類は全て揃っているか等きちんと確認した上で提出しましょう。
4.保険会社の調査
必須事項ではありませんが、保険会社が必要であると判断した場合には、保険会社から鑑定人が調査に派遣されてくる場合があります。快く受け入れ、質問されたことには素直に確実に答えましょう。
※保険会社から鑑定人が派遣されてくる可能性が高いと言われているケースとしては、「申請金額が100万円以上等高額である」「提出した書類の不備が散見されたり、信憑性がかけていたりする」等が挙げられます。
特に提出した書類の不備が散見される場合というケースは、必要書類提出前にきちんと確認を行えば防げるケースですので、確認を怠らないようにしましょう。
5.保険金の入金
上記工程の後、保険会社によって審査が行われ、審査に無事通ることができた場合にはじめて保険金が入金されます。
※地震や噴火、またそれによる津波によって起こった被害は火災保険ではなく、地震保険の適用となります。
※契約者及び被保険者が故意に火を付けた場合や故意でなくても重大な過失が認められた場合には保険金は支払われません。
火災保険は年々高くなっている
火災保険は、契約期間中であれば、何度でも使用することができ、使用回数によって更新料が上がるということはありませんが、年々右肩上がりで保険料が値上がりしているのが現状です。
2021年6月21日には、損害保険各社で作られている損害保険料率算出機構によって、個人向け火災保険料の目安となる参考純率を全国平均で10.9%上昇させるとの発表がされています。過去4年間で3度目の値上げかつ値上げ幅は過去最大です。
本項目では、火災保険が値上がりしている理由と、火災保険をお得に使用する方法について解説致します。
理由は?
火災保険料が年々高くなっている理由としては、地球温暖化により、大規模な自然災害(台風や豪雨)が年々増加していることが挙げられます。大規模な自然災害によって、火災保険加入者達が保険金の請求を行うために、保険会社の資金繰りが苦しくなっているというのが現状です。
1959年以降、火災保険の保険金支払い額の上位10位に入る災害(地震以外)が、過去10年間に7つも発生していることからも、保険会社の資金力悪化は明白です。
火災保険が成り立たなくなると、火災及び自然災害で被害を受けた際に、補償を受けることができず生活が困難になるケースが多発することが予想されます。それを防ぐために、火災保険の値上げが実施されており、2022年にもまたさらに値上げが実施されると言われています。
お得に使用する方法
年々右肩上がりに値上げされている火災保険料ですが、保険料をお得に支払う方法があります。それは、記事冒頭でご紹介したように、短期契約を結ぶのではなく、長期契約を結ぶことです。
短期契約では、契約が終わり新たに火災保険に入る際、値上がりした保険料を支払う必要があります。一方で、長期契約の場合には、契約途中で火災保険が値上がりしても、契約当初の保険料が適用されるため、契約期間中は値上がりした保険料を支払う必要がありません。
火災保険は、一般的に1年や2年の短期契約を結ぶケースが多いですが、長期契約を結ぶことも可能ですので、最長期間の10年契約を結ぶことを推奨します。
関連記事:火災保険は5年契約と10年契約のどちらがいいのか。今後の変化と対応策を解説 5年契約と10年契約のどちらがいい?
まとめ
本記事では、火災保険を申請する方法をはじめ、お得に火災保険料を支払う方法についてご紹介致しました。地球温暖化によって、地球環境が劇的に変化している現代において、火災保険に加入しておくことは必須です。
いつ、どこで、誰がどんな火災及び自然災害に見舞われるかということはわかりませんが、いつ自分がそうした災害に見舞われてしまったとしても、火災保険の内容及び申請方法等を理解しておくことで、きちんと補償を受けることが可能です。
日頃から契約をしている火災保険の内容を理解し、万が一の時に備えておきましょう。また、保険料をお得に支払うためには、長期契約を結ぶことだけでなく、補償内容に見合った保険会社を選定することも大切です。
火災保険の契約が切れる時には、同じ保険に入り直すのではなく、きちんと他社の保険内容等と比較し、適切な火災保険に加入するようにしましょう。